新旧スチールカメラ/デジタルカメラ/交換レンズ-トキワカメラ

継続は力なり

ニューヨークを後にし、ロサンゼルスで小生の後の勤め先の上司にお世話になるという偶然(当時は当然そんな事を知る由もなかったけれども)などありながら残りの日程を楽しく過ごし帰国に到った。

それから37年経った先々週の土曜日、

いつもの様に、店頭で業務に携わっていると初老のご夫婦とご子息らしき男性の三人連れの方が店の看板を見ながら“ここってトキワカメラ?”と確認し合っている。

初老の男性が店内に入ってこられて、ゆっくりとショウケースを端からご覧になられ、最後に小生のところによってこられ商品のご質問を上品な標準語でなされた。

小生の受け答えにご納得されると突然プライベートな質問を投げかけてこられた。

その質問の内容と小生の返答にお互いに目を見合わせ、

小生が“ニューヨークで”と言葉を発する前に、初老の男性が“お久し振りです○○でございます”と深々とお辞儀をされた。

負け惜しみではないが、この37年間、その方のお名前は楽しかった初渡航の思い出と共に記憶されていたのに、こちらから言い出せなかった事を悔いた。

私たちの会話の中に、奥様とご子息が加わり、当時の話に花が咲いた。

話題の中心はやはり、小生が懇願したインスタントラーメン。

奥様がどうしてインスタントラーメンだったのか、又、手料理を振る舞えなかった事などを小生に話されていた。

ご子息も懐かしそうに頷いておられた。

今回、大阪に立ち寄られたのは、震災で鎌倉から一時避難されて来られたそうである。

当時の小生の無礼と心からのおもてなしに、お詫びと感謝の意をお伝えし

最後にワールドトレードサンタービルを背景に撮ってもらった写真をお見せしてお別れした。

当時の立ち振る舞い。今回小生に深々と挨拶された丁寧さの中に見られる、気品の高さと上品さ、

失礼ながら、素晴らしく素敵な人生を過ごしてこられた様に小生には思えた。

果たして、この37年間の小生の生きざまについて、あの方達にはどのように映ったのであろうかと考えながら。

今までこの商売を続けて、あの方達と再会が出来る機会を作れた事で、少しでも恩返し出来たかなと思う。

後日丁重なメールを頂いた。

ご返事に、このブログを是非読んで頂きたいと書くつもりである。