新旧スチールカメラ/デジタルカメラ/交換レンズ-トキワカメラ

佇まい

小生が小学生の高学年の頃、同級生3〜4人の間で市内巡りと称して、大阪市営路線バスに集まり、最終目標として全路線を網羅するといった一種の遊び感覚の内輪だけの買いを発足して。

当時地下鉄は大阪市内中心部には、充分な路線を巡らせていたが、市内周辺部の基幹交通手段は路線バスであった。

その付近には田畑が広がり、ところどころに雑草が生い茂る空き地が目につき、道幅も狭く舗道もお粗末なもので、歩道と車道の区別もない道路に大型バスが行き来するありさまで、

実にのんびりした光景である反面、生活感漂う活気のある下町の風景でもあったように記憶している。

ここ数年当時の会の1人と自家用車で当時のバス路線を忠実にたどり、地下鉄の延長などで廃線となった路線の道順、バス停の位置、車庫の跡などを検証し楽しんでいる。

昨日の事、いつもの検証を終え帰路の途中、阿倍野筋を通った。

そこは、片側二車線の幹線道路で中央に路面電車が走っている。

数年前までは道の両側に小さな商店街が賑わっており活気に満ちた通りであったが、今や道路拡張と区画整理の為、片側の商店街は撤去されいくつかの大きな住宅兼ショッピングモールが立ち並んでいた。

小生には殺風景なゴーストタウンに見えた。

この光景は小生の幼少の頃の大阪の最大級の目ぬき通りであった千日前通りでも同じ事が起っていた。

市電が廃止となり、道路が拡張され、地下には鉄道とショッピングモールが出来、高速道路が視野を狭める。

殺風景な景観は人通りを減らしゴースト通り化させる。

かつての賑わいはどこに行ったのか。

人の心もそうだが、都市計画も机上のものさしでは計れないものである。